夢のまた夢【短編集】
ある時、駅まで主人を迎えに行こうと
車のキーを探しているのだけれど
どこをどう探しても見つからない。

たまたま、そこにいた人に
問うてみたら。
俺はもうここにいるじゃないかと
その人は言うから
もう一度、言ってみた。

どこのどなたか存じませんが
主人がもう仕事から帰る時間ですので
お引き取りください。と。

すると、またもやその人は
しっかりしておくれ
それは俺じゃないか
そして、俺が定年してもう何年
経っていると思っているんだ。
頼む、しっかりしてくれ。

目の前の人が何を言っているのか
さっぱりわからない。


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