夢のまた夢【短編集】
「ゆっくりと呼吸をして」

ふかふかのベッドに横たわり
薄暗い部屋の中で言われた通り、
ゆっくりと深呼吸をする。
すると、庭先で嗅いだものより
更に濃い香りが私の鼻孔を刺激する。

「そのまま呼吸を続けて。
そしてーーー眠気がやってきたら
そのまま、身を委ねてください。
僕の事を信じられますか?」

私は返事の代わりに目を閉じると
呼吸をゆっくりと繰り返した。
何度目かの呼吸の後、
私は眠りに落ちた。










そしてーーー









次に目を開けた時には
高くて青い空と
白い波を穏やかに従えた海が
目の前に広がっていた。



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