夢のまた夢【短編集】
公園のベンチに並んで座っているだけなのに
どうして、こんなにもドキドキするのだろうか?
そんなことを思いながら
缶ジュースを、一口飲む。
アップルの甘酸っぱさが
口の中に広がった。
「青野さ、したんだよな?結婚。
っていうかもう青野って呼んじゃダメだよな」
私の左手に目をやりながら
先輩が言う。
「えっ?あ、あぁ……青野でいいですよ。
友達も未だにそう呼んでますし。
アオノって。
結婚したのはーーー去年の春です。
丁度、一年になります。」
「そっかぁ、まだまだ新婚じゃん」
「全然、新婚らしくないですよ。
結構、付き合ってる期間が長かったので
なんかもうすでに倦怠期だったりします」
「そんなこと言うなよ。
俺、お前が結婚したって聞いたとき
かなり落ち込んだんだからな。」
スーツの上着をベンチに掛け、
ワイシャツの袖を少し捲った所から
日に焼けた先輩の引き締まった腕が見える。
先輩のプレー格好良かったなぁ。
先輩はエースアタッカー。
180cm以上はある長身の先輩が
軽やかに飛び、アタックを打つ姿は
とても綺麗で芸術的だった。
「おい、青野、聞いてんのかよ。
俺、今、何気に告った感じになって
たんだけどなぁ」
「えっ、告った?
誰がですか?えっ、なに?ボーッとしちゃってた。ご、ごめんなさい。先輩。」
本当は聞こえていた。
だけど、聞こえなかったふりをした。
先輩への恋心は私の中では完結しているのだ。
同じバレー部のマネージャーと
付き合ってると知った時に
全ては終わっていた。
その後、人伝に
先輩が私の事を気に掛けてくれていることを
知ったのだけれど
既に私には付き合っている人がいた。
今の結婚相手だ。
「お前はホント、そういうところ
変わんないな。ボーッとしてるようでお前はちゃんとしてるよ。簡単には流されないのな。やっぱりお前に会って正解だった。」
「大沢先輩……」
「青野、わかってんだろ?」
「………………は、い」
「そうか、気づいてたか?
っていうか、聞いてるだろ俺の事?」
「ええ、何となくですけど……」
「そっかぁ…………」
私には昔から不思議な力があった。
この世に存在しない人の姿を見ることが出来た
。何故か、私にはそういう人が青い光に包まれて見えるのだ。
そして、先輩を見たときもーーーー
どうして、こんなにもドキドキするのだろうか?
そんなことを思いながら
缶ジュースを、一口飲む。
アップルの甘酸っぱさが
口の中に広がった。
「青野さ、したんだよな?結婚。
っていうかもう青野って呼んじゃダメだよな」
私の左手に目をやりながら
先輩が言う。
「えっ?あ、あぁ……青野でいいですよ。
友達も未だにそう呼んでますし。
アオノって。
結婚したのはーーー去年の春です。
丁度、一年になります。」
「そっかぁ、まだまだ新婚じゃん」
「全然、新婚らしくないですよ。
結構、付き合ってる期間が長かったので
なんかもうすでに倦怠期だったりします」
「そんなこと言うなよ。
俺、お前が結婚したって聞いたとき
かなり落ち込んだんだからな。」
スーツの上着をベンチに掛け、
ワイシャツの袖を少し捲った所から
日に焼けた先輩の引き締まった腕が見える。
先輩のプレー格好良かったなぁ。
先輩はエースアタッカー。
180cm以上はある長身の先輩が
軽やかに飛び、アタックを打つ姿は
とても綺麗で芸術的だった。
「おい、青野、聞いてんのかよ。
俺、今、何気に告った感じになって
たんだけどなぁ」
「えっ、告った?
誰がですか?えっ、なに?ボーッとしちゃってた。ご、ごめんなさい。先輩。」
本当は聞こえていた。
だけど、聞こえなかったふりをした。
先輩への恋心は私の中では完結しているのだ。
同じバレー部のマネージャーと
付き合ってると知った時に
全ては終わっていた。
その後、人伝に
先輩が私の事を気に掛けてくれていることを
知ったのだけれど
既に私には付き合っている人がいた。
今の結婚相手だ。
「お前はホント、そういうところ
変わんないな。ボーッとしてるようでお前はちゃんとしてるよ。簡単には流されないのな。やっぱりお前に会って正解だった。」
「大沢先輩……」
「青野、わかってんだろ?」
「………………は、い」
「そうか、気づいてたか?
っていうか、聞いてるだろ俺の事?」
「ええ、何となくですけど……」
「そっかぁ…………」
私には昔から不思議な力があった。
この世に存在しない人の姿を見ることが出来た
。何故か、私にはそういう人が青い光に包まれて見えるのだ。
そして、先輩を見たときもーーーー