傷女~四季のない世界

 スマホの、着メロが鳴る!
 ミディアム調のR&B。

 ってことは?



「あ、二宮くん?
 岩田だけど、
 今、大丈夫かな~?」

岩さん、からの電話だった。


岩さんは、フリーカメラマン。
風景や動物を、ライフワークにしている。

「取材旅行して、写真集だすぜ!」
なんて、調子よかったりする。
ま、本気で実現させちゃうのが、
岩さんのスゴいとこ、なんだけど。


もっとも、
仕事の依頼にも「浮き沈み」があって、
安定して、生活していけない。


だから、
かけ持ちの副業を、いくつかされてた。

ある時は、
ギャンブル雑誌のギャグ漫画家。

ある時は、
バイクツーリング企画をやる
フリーライターとか。


なんにしろ、
アイデアを実現しちゃう意味で、
天才肌の人だ。




「お久しぶりです。

 何か、いいこと、
 あったんですか(笑)」

 まあ、いつもの事。
 嬉しそうに、話かけてくるから。
 人なつっこさが、憎めないね♪


 今日も、
 喫茶店で、だべり会かな?

 最近の楽しい仕事や、
 ギャグのウケチェック、
 撮影に行きたいロケ先あたり。


「実はね、二宮くん。

 こんど、知り合いと
 パーティーやることになってさ。
 
 キミも、どうかな~と。

 まあ、異業種交流会、
 みたいなもんだけどさ~。」


 あ、そうなんだ。

「行きたいですね~。
 キョウミありますよ。

 で、
 いつになるんです?」


「じゃ~、
 詳しく決まったら、連絡するよ。
 
 一緒に行こう!!」


 そういうなり、
 ガチャ切り!された。
 
 あいかわらずの、
 マイペースだ(笑)
 未来だけを、追いかけている。

 決まった瞬間、
 もう頭の中に、
 アイデア浮かんでるんだろうか?

 頭をパカッとひらいて、
 コネくりまわしたい、 
 とか思いつつ。



 でも、
 裏のない「子供のような」性格が、
 岩さんの人脈をひろげてた。

 雑誌の関係者はじめ、
 番組製作会社、
 映画の脚本家。

 メディアがらみの知人友人が
 ホントに多い。


 さらに、
 ツーリング先や、
 取材先、ギャンブル場なんかで、
 誰とでも、友だちになれちゃう。

 あの度胸と、
 すぐやる行動力は、
 スゴイ。

 そこは、認めてるんだけど。


 岩さん、
 自由すぎて、
 恋人が、続かないんだよな~(笑)
 
 「あなたには、
  ついてけません!」
  って、フラれゼリフ、
  笑いながら話してたし。



 まっ、
 いいや。


 岩さんのルートだ。
 「異業種交流会」っての、
 楽しみに、待ってよっと♪



< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop