傷女~四季のない世界
「は~。
 まだ終わんないんですか?
 チーフ~(笑)      」

 薄暗く、
 やおら長い廊下から、
 自分なりのエールを
 おくってみた。

 姿みえないもんね。
 ホント。
 


 私は、さゆり。

 地方の県庁所在地で、
 ウェディング・プランナーを
 している。

 ここんとこ、
 忙しさをイイワケに、
 友だち付き合い、ワルいかも。


 でも、
 飲み会には顔だしてんだ~。
 お開きになる前に、
 スベリこみして。

 「また、女子会かなぁ♪
  ノリ、友だちいっぱいだしぃ。」


 すこしすると、
 チーフが帰ってきた。


 ちょっとした、
 洞窟探検、みたい。

 広めの倉庫も、
 山積みの段ボールや、
 イス、テーブルウェアだらけ。

 なんか、
 かくれんぼ、できちゃうよね(笑)


 「さゆり君。
  待っててくれて、ありがとう。

  戸締まり担当、
  ひとりだと、寂しくてね(笑)
  つい、ステキな笑顔に、
  甘えてしまうよ。      」


 「またまた~♪
  ほめても、出ませんよ~。
  何にも♪        

  なら、帰りに、
  スタバ、ごちそうして下さい!」

  地下街にある、
  いつものお店。

  何気ない、おしゃべりが、
  近ごろ日課に。


  「あぁ~~~♪
   いい男、
   転がってないかな~♪」


  街のクラクションが、
  遠くから、きこえていた。




 


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