夕陽のあの人
自動ドアをくぐるころには夕陽が世界を紅く染め始めていた。

俺は2階一番西側の読書コーナーへと走る。

足音に係員顔をしかめたが、注意される前に走り抜けた。

あの人がいつも座っていた席には西本が座っていた。

それだけなのになんだか苛々する。

そこはあの人の席だ。

西本は「座れば?」と俺を促す。

「あの人は…?」

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