溺愛レッテル
と、その瞬間。

ベッドのきしむ音と共に、春彦の呼吸が急に近付いた。

声が耳元で響く。
鼓動が聞こえる。

春彦は何をしているのか。

目が開けられない。
声が出せない。

今ここで、『起きてましたー』なんて、そんなことができる空気ではない。

だが、仮に寝たふりをしていなくとも、私は口を開くことができなくなった。

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