恋する人のための7つのラブストーリー
何故だろう。

さっきから視線を感じる。

きっと気のせい。

私なんかを
見る人なんていないに決まっている。

私のような
影の存在には。


「えーまた?」

「この頃付き合い悪いよね、敬太」

「どうしたのよ、急に」


「どうもしてない。
俺は俺だよ。
何も変わってない」


漆黒の色をした
彼の髪が揺れる。

微妙に眉にかかった前髪が
俯いた彼の顔を隠す。


「じゃあ行こうよ」

「そうだよ、ね?」


「嫌、今日はこの子と行くから」

< 3 / 39 >

この作品をシェア

pagetop