Sympathy For The Angel
「えぇと。唐揚げ粉を鶏肉にまんべんなくまぶしてぱたぱたする…と」

「椿さん大丈夫ですか?私替わりましょうか?」


心配そうに美優紀は私の手元を覗きこんだ。

美優紀に揚げ物なんかさせられないよ。


「だいじょーぶ。それよりサラダの方は出来てる?」

「あとは混ぜ合わせるだけです」


クルトン入りのコーンスープは作ったし、ガーリックトーストはオーブンの中。そしてフライドチキンは揚げるだけ。

あとは南瓜の中身をくり貫いて器に使い、野菜と混ぜたパンプキンサラダが出来れば完成だ。


跳ねる揚げ油と格闘しつつ、要領悪くもなんとかメインのフライドチキンが出来たので、レタスを敷いた皿に盛り付ける。


そこに響くインターホンの音。

気がつけばもう6時を10分ほど過ぎている。


「樹が来たみたい。ちょっと行ってくるね」

玄関のドアを開けてそれに凭れ掛かる樹を家の中に上げた。

「どっか食いに行かね?」

「今日もうちで食べようよ。美優紀と二人でご馳走作ったんだよー?」

「……なら我慢する」

我慢!?我慢するって言った?この人。

なんかムカつくんですけど。




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