Sympathy For The Angel
「……どうよ?」

「ん。意外に旨そう」

意外にって!!


「無性にチキン食いたくてファストフード行こうと思ってたから、反って良かったかも」

さいですか。



「ガーリックトースト旨ぇな」

「ちょっと!美優紀の力作のパンプキンサラダも食べなよね」


ああ、と小声で答えた樹がサラダに手を延ばした。


「すげぇ凝ったサラダだな。結構旨い……」

「涙目ですけど」

「美味しくなかったですか?」

美優紀も涙目ですけど。


「違うんだよ。樹は好き嫌いが激しいから、食べれない物が一杯あるんだ。南瓜も苦手だったんだ?」

「……好きではねぇな」

無理に水で胃に流し込まなくてもいいじゃん!!


美優紀は樹に何か聞きたそうにしているんだけど、愛想が良くない樹の雰囲気にのまれている。


「美優紀?何か樹に聞きたい事でもあんの?」

美優紀が喋り易いように水を向けてやった。


「あ…。お兄ちゃん、ちゃんと仕事出来てますか?それが心配で……」


美優紀をちらりと見ると、樹が素っ気なく答える。

「真面目にやってる。まぁ、中坊だからあんまり下手な事もやらせらんねぇしな」

「不束な兄ですが、宜しくお願いします」

不束って言葉を使う中学生初めて見たよ。




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