Sympathy For The Angel
憂鬱な気分で翌朝は目が覚めた。
折角美優紀が作っているであろう美味しそうな朝食の匂いにも、心を動かされない。
沈鬱な顔をぶら下げて階下に降りると、いつものように美優紀は笑顔で挨拶をした。
それには曖昧に応えてダイニングのテーブルに突っ伏すと、美優紀が心配そうに私の元へやって来た。
「椿さん……。体の調子がどこか悪いんですか?」
テーブルの横に屈んで私の目線に合わせる美優紀には「体は心配ないよ」とだけ答えて再び顔を伏せた。
「……ご飯、食べられますか?」
美優紀の悲しそうな顔を見たら食べないのが申し訳なくて、いつもの量の半分だけご飯を食べる事にした。
「体調じゃないなら……。何か嫌な事でも、ありました?」
然り気無く美優紀は聞いたつもりだろうが、その声は緊張して震えている。