Sympathy For The Angel
敵に奢られるのも気が引けたが、美優紀があんまり嬉しそうな様子だったので、それについ釣られて私はオムライスを注文した。美優紀はビーフシチューを。


八神諒は意外にも親子丼を頼んでいた。



「やっぱ、お前は違うよな」


食事の最中、唐突に八神諒が語りかけてきた。


「は?いきなり何?」


突然過ぎて訳が分からない。


「医療関係の他のトップクラスのお嬢様とは違う。いつもならこんな所には連れて来ない」

「色々な医療関係のお嬢様方とご関係がおありなんですね。つーかそろそろ解放してくんない?」



嫌だ、と駄々をこねる子供みたいに八神諒は私の言葉を否定した。




「堅苦しい高級レストランや料亭より、俺はこの店の方が性に合ってんだよ」

「名門の医者の一族の言葉とは思えないね。最も、高級レストランなんかに連れてかれたら美優紀を連れてすぐにでも帰るつもりだったけど」





そう言って美優紀を見た。








瞬間、肝が冷える。


「……美優紀……?」









美優紀が、胸を抑えて椅子から崩れ落ちた―――――。




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