Sympathy For The Angel
素早く立ち上がった八神諒が蹲る美優紀に近寄り押し倒した。

着ていたワンピースのリボンを解き、胸元までそれをずり下げる。

「俺の携帯を出せ!!」

怒鳴られるがまま、八神諒のポケットからスマホを出して差し出すと、「修介ってアドレスにあるだろ?そこにかけろ」と命じられた。


震える指でその番号に電話をかけると、八神諒の耳にスマホを当てた。


そうしながらも八神諒は美優紀への心臓マッサージを施す手を休めない。


「…っ!叔父貴か!?悪い忙しいとこ。今医大の横のミズノに居んだけど、目の前で倒れたヤツがいる。多分こいつチアノーゼだ。すぐ運んでいいか!?」


一方的に話す八神諒をただ茫然と見つめるよりない私は、自分の非力さと美優紀を連れ出した罪悪感に苛まれた。



「………救急車が直に来る」

そう言いながらも、八神諒は美優紀の脈拍を取ったり目を開けさせて眼球を調べたりしている。


祈るような時間の後、やがて救急隊員が担架を運んでやって来た。



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