Sympathy For The Angel
『俺の事を汚い奴だと思うか?』

「思わない。樹は綺麗な人間だよ」

『ホストやって、その為に何人もオンナと寝た奴でもか?』

「思わない。だってそれは仲間の為だから……」

『だよな。お前は俺の事を責めなかった。だから、俺もお前を汚いとは思わない。お前だって仲間の為に頑張ってんだろ?』

「……うん……」


誰も救えない無力な私だけど。

彼の人達を救いたい、力になりたい気持ちは捨てたくない。


『だから、一人で泣くな。泣きたくなったら俺の所に来いよ』

「うん…っ!いつ…き?」

『何だよ?』

「ありがと。あと、店で酒を飲み過ぎないでね」

『俺の事より自分の心配しとけよ、阿呆』

「おやすみ、樹」


おう、と樹からの返事が返ってきて、通話は切られた。


そうだよ。


泣く前に、やらなきゃいけない事は沢山ある。


前に、進もう。





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