Sympathy For The Angel
「それから椿。あの娘の手術代だが、私が出してやろう。そうすればお前も心配ないだろう?」

「っ!止めてよ!美優紀の手術代はハヤトが一生懸命貯めたんだ!それに援助してくれる奴だっている。だから、あんた達の金なんか要らない!」

「椿!お父さんに向かってなんて口の聞き方をしているの!?」

「そのハヤトと言うのは、ICU の前で暴れていた奴か?」

「あんたに関係ない」

「椿!」

ヒステリックな母親の叫びは完全に無視した。

「確かあの娘の兄だったな。どうだ、兄の方もうちで預かるか?そうすれば椿も安心できるだろう?」

「あら、それは良いじゃない。ね、椿。施設の子共達を預かれば奥様同士の親睦会での話題になるわ。是非そうしましょう?」



私の肩に置かれた母親の手を振り払った。



「気持ち悪い。ハヤトは今、自立して自分と美優紀の居場所を頑張って作ってる。それを邪魔するなら、私がこの家を出ていく」



それだけを言い切ると、私はリビングを後にした。

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