Sympathy For The Angel
「っらぁ!舐めてんじゃねぇよ!!」

「っざけんな!こいやゴラァ」

どこからか、集団で殴り合う鈍い音が聞こえた。





自分の身に置かれた危険を忘れたわけではないが、そちらの方にふらふらと導かれていく。



針葉樹が立ち並ぶ林を抜けると、《それ》は森林公園のただ中で行われていた。



角材やバットを手にした男達が次々に倒されている。

両方の勢力は同じぐらい。エモノを持たない集団は、手際よく相手を薙ぎ倒していく。



「……どこのチームだろ?」



目を凝らしてみたが夜の闇の中にポツンと立つ街灯一つでは、私がいるところからはそれを確認出来なかった。



武器を持たない一方の集団は、相手の急所を的確に狙って攻撃を加えていた。


更には、武器を手にした集団は同士が倒されるにつれて、一人また一人と戦意を喪失して逃げる奴等もいるのに対し、素手で闘う彼等は、仲間が倒れても構わず相手に向かっていく。



個々の力量は分からないが、戦闘意欲や指揮系統に違いがあるのは明らかだった。



武器を手にした集団はとうとう最後の一人まで叩きのめされた。








「……これで勢力図が変わる。『beast』は潰れた。……後は『炎龍』と………『紅蓮』だ」






低く発した八神諒の声に、回りの者達は、ゴオォと唸るような勝鬨を上げた―――。






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