Sympathy For The Angel
「……さあ?だが、いきなり戦争ってのも芸がねーだろ。余興は楽しもうぜ」

「何だよそれ」


だとすると、『狂宴』はまだ『紅蓮』には手を出すつもりは無いんだろうか?


「掛井が如何わしい店をやってるのは知ってる。お前、よくそんな野郎と付き合っていられるよな。もう別れちまえよ」


さすがにこれにはキレた。


「ふっざけんな!樹の事をアンタにどうこう言われる筋合いなんかない!」


だが、これは自ら墓穴を掘ってしまった結果となる。


思わず私があげた大声は、しっかり両親に聞かれていたのだ。



その両親は、樹の事を当然良く思っていない。はっきり言えば、樹の事を毛嫌いしている。


「椿!お前まだあんな奴と付き合っていたのか!?」

店内だという事を忘れて父親が怒鳴った。

「あんな子は止めなさい、椿。せっかくお付き合いするなら、八神先生のお孫さんとお付き合いしたらどうなの?」


ああ、マジでぶちのめしてぇ。


樹の為にも、八神諒の為にも。

何で樹や八神諒に目線を合わせず、個々を見ようとしないんだろう?



「その『八神先生のお孫さん』が『八神諒』って名前を持ってる事、アンタ達は知ってんの?」


両親は、何も言わなかった。




反抗期の子供みたいに両親から顔を逸らすと、美優紀が私の手を撫でてくれた。


小声で「疲れるよね」と囁くと、美優紀が大きく頷いた。





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