Sympathy For The Angel
紅蓮のアジトは海沿いの、何年も前に廃業したホテルの広い敷地の中にある。
ホテルの廃屋はそのまま紅蓮本部として利用され、いつの間にか電気や水道までが使えるように整備が整えられていた。
夕方近くに私が単車でそこへ着いた頃には既にもう紅蓮の下の連中が集まって、一階のホールで騒いでいるようだった。
会議は二階の旧レストランで行われるが、三階にある、昔は客室に使われていた部屋はそのまま幹部の私室に使われている。
私は会議室に向かう前に、まず樹の私室に足を向けた。
会議の前に、どうしても樹に聞きたい事があるからだ。
三階までの階段を昇ろうとして、見張りのように立っていたヒロと司に呼び止められた。
「椿。今は樹んとこには行かない方がいい」
どこか歯切れの悪い、ヒロの言葉は無視した。
「椿さん!頼みますから会議室で待ってて下さいよ!」
懇願するような司の顔を見ると、思わず笑いが込み上げてくる。
司は捨てられた仔犬のように項垂れて、ベビーフェイスに泣きそうな目で私を見つめている。
こらこら、せっかく立てた威勢のいい髪がしょぼんと下を向いてるぞ。
ホント、真依と司、お似合いだよね。
こんな可愛くて初々しい奴等、他にはいないよ。
真依だけじゃない。
スズだって、彼氏のタカの事を話す時、すごく幸せそうな顔をしてた。
ルカも、そう。ルカは彼氏のシズより年上だったから、シズの事を誰より心配して健気に世話を焼いていた。
ホテルの廃屋はそのまま紅蓮本部として利用され、いつの間にか電気や水道までが使えるように整備が整えられていた。
夕方近くに私が単車でそこへ着いた頃には既にもう紅蓮の下の連中が集まって、一階のホールで騒いでいるようだった。
会議は二階の旧レストランで行われるが、三階にある、昔は客室に使われていた部屋はそのまま幹部の私室に使われている。
私は会議室に向かう前に、まず樹の私室に足を向けた。
会議の前に、どうしても樹に聞きたい事があるからだ。
三階までの階段を昇ろうとして、見張りのように立っていたヒロと司に呼び止められた。
「椿。今は樹んとこには行かない方がいい」
どこか歯切れの悪い、ヒロの言葉は無視した。
「椿さん!頼みますから会議室で待ってて下さいよ!」
懇願するような司の顔を見ると、思わず笑いが込み上げてくる。
司は捨てられた仔犬のように項垂れて、ベビーフェイスに泣きそうな目で私を見つめている。
こらこら、せっかく立てた威勢のいい髪がしょぼんと下を向いてるぞ。
ホント、真依と司、お似合いだよね。
こんな可愛くて初々しい奴等、他にはいないよ。
真依だけじゃない。
スズだって、彼氏のタカの事を話す時、すごく幸せそうな顔をしてた。
ルカも、そう。ルカは彼氏のシズより年上だったから、シズの事を誰より心配して健気に世話を焼いていた。