Sympathy For The Angel
「……で?私、アンタと話す事なんか無いんだけど?」

「まあ、そう言うなよ。せっかく二人きりになれたんだし」



だからそれが嫌だって言ってんの!!


「さっきはサンキューな」

「は?」


意味が分からない。

何で八神諒に礼をされんの?


「八神の名前から俺を解放してくれて」

「あ。ああ、その事?だってアンタには『諒』って名前があるんでしょ?だったらアンタの爺さんや叔父さんは関係ないじゃん。アンタは『諒』なんだし」

「お前にそう言われると、すげぇ安心できる。だけど、そろそろフルネームで呼ぶのは止めろよ。名前で呼べ」


はい、上から目線頂きましたー。


「やだね。だってアンタは私の友人でもないし、ましてや彼氏でもない」

「友人ですらないのか、俺は」


嘆く八神諒を見ると、何故か加虐心が沸いてくる。




「敵でしょ。蘭は確かに紅蓮を抜けたけど、それは一時的なものだし。私達は紅蓮と一緒だからね?」

「敵かよ」


楽しそうに八神諒は笑った。



「本当に紅蓮に戦争は仕掛けない?」

「紅蓮にはまだ仕掛けない。それよりやらなきゃいけない事があんだよ。それを待ってから掛井を潰す」

「やんなきゃいけない事って、何さ?」


私は濃い目のカプチーノを啜り、タバコを取り出した。

八神諒も釣られてタバコに火を点ける。


「それはまだ教えない。後でのお楽しみってヤツさ」

含んだようなコイツの言い種には腹が立つ。




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