Sympathy For The Angel
部屋のクッションに美優紀を座らせて、自分はベッドの上に掛けた。


「一人にしてごめんね。大丈夫だった?」

「当たり障りのない話だったから、大丈夫でした。あの、椿さん……?」

「何?」



何故だか分からないが、顔を赤らめた美優紀が下を向いてぽそぽそと喋る。


「八神さんって……。心臓外科の八神先生の親戚なんですよね?」

「そうみたいだね。でも、美優紀の手術が決まったのも、あの時八神諒が直接その医者の八神に電話したことが理由になるのかな?」


一番の理由は言わずもがな《権力闘争》だろうけど。



「……あの…まさか、椿さんの婚約者…なんですか?あの八神さん……」

「は!?」


今このこなんつった?


「なんか…八神さんって、椿さんの事が好きなんですよね?みた感じすごくお似合いだったから……」

「ちょっと待て冷静になろう。私には樹がいるんだよ?それに私、八神諒の事なんか眼中にないし。どっから婚約者なんて出てきた!?」

「すみません!勘違いしちゃって……」

「や、良いけどさ。だけどここだけの話、八神諒は樹とは敵対する違うチームのトップなんだ。だから、八神諒は紅蓮や蘭の敵だと思ってるよ?」


ねぇ何でこんな勘違いしたのこの子。

婚約者とかあり得なさすぎる!


「紅蓮や蘭の、敵…ですか…」


そう言う美優紀の目はどこか悲しそうだ。



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