Sympathy For The Angel
恐縮する美優紀を「用があるから先に入って」と言いくるめて先に入浴させると、私はエリカに電話をかけた。


2コールで出たエリカに、今日は『snow drop 』では何か変わったことがなかったかを尋ねた。


「とりあえず平和だったかな?変な奴等に絡まれた子もいなかったし、皆そろそろ帰ろうかって言ってるし」

「何、まだ店にいるの?」

「いるよー。つっても私と真依と何人かだけどね」


エリカは今日、ヒロとゆっくりできたのかな?


「ね、エリカ。今日はヒロとは遊べた?」


その質問は、質問ではなくて願望。


「まぁ……お陰さまで。1~2時間ぐらいは…ね」

歯切れが悪いなぁ、と思いつつ苦笑した。


「けど、ホテルからの帰り道、ルカに会ったんだよね」

「……ルカに?」

「それがさ、私の顔を見た途端に逃げ出して。ヒロと二人で慌てて追っかけたけど駄目だった」

「アンタがこないだ怒鳴ったから怖かったんじゃねーの?」

「そんなんじゃないよ!」



エリカが珍しく慌てたような声を出した。
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