Sympathy For The Angel
そのまま単車でsnow dropに乗り付けた。
店内には、蘭のメンバー殆ど全員が集まっている。
何かを言いたげな真依の前を素通りし、私の定位置の上座に座った。
皆が固唾を飲んで見守る中、私は重々しく口を開いた。
「……今日限りで紅蓮を抜けた」
その言葉に、誰もが息を飲んだ。
「『蘭』は……どうする?」
震えるような小声で、エリカが呟いた。
「蘭はまだ、解散しない。独立したレディースとして、少しの間活動する。抜けたいヤツは抜けてもいいし、強制はしない」
「……その後は、どうするんですか……?」
「はっきり言えば、紅蓮の天下は終わるだろう。新興勢力や敵対チームとの戦争に勝てるだけの力が今の紅蓮にあるとは思えない。静観して様子を見る」
今日の会議でつくづく感じた冷たい空気。
紅蓮支部の殆どが、本部の隙を狙っている。
敵対チームだけじゃない。
支部の奴等も、下克上を狙っているに違いないのだ。
そんな危ない中に蘭のメンバーを巻き込む訳にはいかない。
「今後の蘭の活動は、専ら自衛に専念する。今大規模な抗争が起きても、紅蓮にはそれに勝つだけの力は、ない。そのとばっちりから守ることをまず第一に考える」
「大規模な抗争……って、そんなのあるんですか……?」
私もまだ名前も覚えていない、新参のコが震えながら聞いてきた。
「多分、戦争になるだろうよ。だから、自分の身は自分達で守らないといけない。今までのように紅蓮はアテにはならないからね」
「……幹部会議、どうだったのさ?」
顔色も悪く、エリカが私に尋ねた。