Sympathy For The Angel
暫く無言だった車の中で、沈黙を破ったのはルカだった。

「あたし、最初はシズに電話したんです……。けどシズは、っ……『今忙しいから、自分でどうにかしろよ』って……。助けに来て貰えなかった……!」

そしてまた嗚咽を漏らすルカの頭を傾げさせ、私はその頭を出来る限り優しく撫でた。

「……もう良いから。今日は早く帰って寝な?嫌な事は何も考えないで」

ミヤとユキノを見ても、先程の恐怖がまだ残っているのは明らかだった。


「……椿さん……」

震える声でユキノが聞いてきた。


「狂宴のオンナになるんですか……?ウチら、どうすればいいんです……?」


八神諒め、余計な事を吹き込みやがって。


「大丈夫。そんな事考えてないし、蘭はあくまで中立の立場は崩さないから。援護には紅蓮が来なくても、蘭の皆は私とエリカが必ず守る」


そう言って、ユキノとミヤの手を握り締めた。



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