Sympathy For The Angel
「なんか甘いもん食いたいな」
「だね。フルーツサンデー頼むわ」
おっけ、と呟いて椅子から立ち上がりかけたら誰かが私の進路を塞いだ。
「あの……。遊佐椿さん……ですよね……?」
おずおずと私に話しかけてきたのは、髪をおさげにした顔色の悪い女の子だった。
多分中学の2~3年生ぐらいだろう。
顔立ちは可愛い方だが、如何せん顔色が悪過ぎる。
どこか具合でも悪いのだろうか?
「椿は私だけど……。誰かな?」
「あっ、すみません!初対面なのに。私は高杉美優紀っていいます。椿さんに、どうしてもお願いしたいことがあって……」
私にどうしても頼みたい事って何だ?
「ずっと椿さんに会いたいと思っていたんです。でも緊張して、なかなかお会いしに行く勇気がなくて……」
「うん。私に用があるのは分かったよ。で、その用件って、一体何かな?」
出来るだけ優しく、威圧的にならないようにその先を促した。だが、目の前のエリカはビシバシと威嚇しまくっている。
「あのっ……!私を、『蘭』に入れて下さい!!」
回りの客が振り向くような大声で、美優紀はその一言を言い切った。