Sympathy For The Angel
カラオケから出るとき、美優紀は喜色を浮かべて何度も頭を下げて去っていった。


残されたのは、不機嫌極まりないエリカ様。


「アンタさ、何考えてんの?つーか馬鹿?」

「うっせーな。ちょっとした気紛れってヤツだよ。それに、あのコの顔色の悪さが気になるんだよね」

「はいはい。これ以上問題を起こさないで下さいよ」


怒りを通り越して呆れたエリカに詫びを入れて、私達はその足でsnow drop に向かった。



snow drop にはスズの他、昨日危ない目に遭ったばかりのユキノとルカとミヤも揃って来ていた。

「大丈夫だった?」

私がそう言葉をかけると、ルカ以外の二人が頷いた。

いつもの椅子に掛けて、ルカの様子を伺う。


多分ルカは、何かを決心してここにいる。

私はエリカを促して横に座らせた。


「街の様子はどうだった?」

所在無げにダーツで遊ぶスズに話を振ってみた。


「やっぱり見たことないヤツらがあっちこちにいましたよ。どこのチームかは分かんないですけど……」

「どこのチームも紅蓮の首狙ってんだから、それが分かるわけないさ」


箱に残った最後のタバコに火をつけながら、私はそう呟いた。


「椿。吸い過ぎじゃね?アンタ今日それで一箱吸ってるよ」

エリカに言われて驚いた。

最近はストレスが溜まると無意識にタバコに手を伸ばしている自覚はあったけど、まさか半日で一箱消費してるとか思ってなかった。

「あー…。最近駄目だね。自制が効かないや」


苦笑してタバコに伸ばした手を引っ込めた。


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