Sympathy For The Angel
「だから、私はもう……。蘭を抜けます……。私がここにいても、意味が無くなったから……。全部が終わってしまった、から」

「そ…か」


私はエリカの方を見遣り、頷いた。


「分かったよ、ルカ。けど、昨日みたいに危ない目に遇いそうな時は連絡して?蘭を抜けても私達の状況が不安定なのには変わりないから」

ルカは涙目で頷くと、スズとミヤに付き添われて店から去っていった。




さっきルカに質問して、ふと私自身の事に気がついた。



私と樹が二人でゆっくり話をしたのは、一体どのくらい前の事だっただろう?


私達はそれすら思い出せないほど冷めてしまっていたのか。



夜の9時頃までsnow drop に居座り、替わる替わる出入りする蘭のメンバー達から、街の様子や彼女達の回りで不穏な動きが無いかを聞いて情報を集めた。


それらを総合するに、今のところはまだどこのチームも戦争を仕掛ける気配はなさそうだ。

だがそれも時間の問題だろう。


「さーて。帰るか」

「えーもう帰んの?」


つまらなさそうなエリカは無視して、私は単車に跨がった。

「わりーけどさ、昨日の今日で疲れてんだよね。それに美優紀の事、親に話さなきゃなんないし」

「ああ、アイツか。大丈夫かよ?」

「ま、今あのコが蘭に入るよりはうちに来た方が無難かも知れないしね。そーいう事さ。じゃね」

「おー」


軽く手を振ってエリカとは別れた。



真っ直ぐ家に帰ると、車庫に父の外車が有ることで父の在宅を知る。



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