Sympathy For The Angel
先程の男の子が、危なっかしくトレンチにコリンズを乗せて戻ってきた。

それを受けとると、「ありがと。もういいよ」と礼を述べてからそのコを下がらせた。


「アンタさ」

ウィスキー・バックを一口飲んで樹を見据えた。

「アンタの回りに色んなオンナが出入りしてたの、枕営業してたからなの?」

「……ああ」

「いつから?」

「ここを開店させる前から」

「事情は分かるけど、幹部会議にまで連れ込む事は無いでしょうよ」


そう。こうやって事情をきちんと説明してくれれば私だって溜飲が下がるものの、幹部会議でのあのオンナの行動だけは戴けない。



「造反しそうな支部の奴等を炙り出す為にやった。全国規模のチームともなれば、いつかは全体の手綱は締めなければなんねーんだよ」

「ふーん。そんなもんなんだ?」

「そう。まぁ、これはヒロと二人で計算してやったわけだけど」

「悪いけど、蘭は暫く静観させて貰うよ?レディースだから戦力にはならないし」

「足手まといになるだろ。逆にヒロも俺も、蘭が紅蓮の傘下からは抜けるように仕向けたんだから」


だから幹部会議の階段で私が話した時、ヒロは驚かなかったのか。


「うん。大体の事情はよく分かった。後でエリカに伝えても良いよね?」

「ああ」

「じゃさ、ちょっとチェンジ」

「は?何を」

鼻で笑ってホストファイルの二番目に載せられた写真を指差した私は、更に悪戯っ子のようにニヤリと笑った。

「№2のシズお願い」

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