Sympathy For The Angel
「はぁ?お前………」

「シズにだってルカの事、言わなきゃいけないでしょ」


にっこり笑った私は睨みをきかせた樹の視線をわざと外し、他にも気になっていた事を聞いた。

「半年ぐらい前、紅蓮に『高杉』っていう名字のコが入らなかった?もしここにいたら呼んで欲しいんだけど」

「ソイツならさっきお前に酒持ってきた奴だと思う。シズは今忙しいから、先にハヤトを呼んでもいいか?」

あのコの名前、ハヤトっていうんだ。

「うん。じゃあハヤトからお願い」


樹は黒服に指示してハヤトを呼ぶよう言いつけた。


「ハヤトにお前が何の用があんの?」


探るように樹が私の顔を覗き見た。


「同席してれば分かりますー」


すっかり温くなったウィスキー・バックを一気に飲み干すと、「ついでにもう一杯」と付け加えるのは忘れなかった。

だってこの席の飲み代払うの私じゃないし。
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