Sympathy For The Angel
3杯目のブランデーを飲んだ樹の瞳が潤んでいて、やけに色っぽく感じるのは気のせいだろうか。

というか、いつもこんな顔してオンナの相手をしてた訳?


それはそれでマジでムカつく。



無言でお互いを見つめあって手を絡めれば、この半年の冷たかった関係が嘘だったかのように胸の奥が高鳴る。

樹が私の頬に手を当てて、顔を近くに寄せた。

唇が触れ合うほど密接した距離のせいで、さっきの私の部屋での樹の熱を思い出してしまい、どうしても体が段々熱くなってくる。


「ヤる?も一回」

私の頬に指を滑らせながら、樹が悪戯に笑った。


「お取り込み中、すっげぇ申し訳ないんですけど……」


苦笑しながら遠慮がちに頭上から聞こえた声。


「すみません、椿さん。遅くなっちまって」

「は?アンタ、シズ!?」


私の前には、いかにもホストくさいスーツを着こなしたシズが立っていた。
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