Sympathy For The Angel
「椿さんが顔を真っ赤にしたの、めっちゃくちゃ可愛かったですー!」

ルカの家から帰る道すがら、そう言って真依が私をからかった。

まぁいいけど。

あの後ケーキを食べ終わる頃には、待受ネタのお陰でルカにも少しだけ笑顔が戻ってきてたしね。


「でもしばらく甘いもの要らないわ、私」

吐きそうな素振りでエリカが口元に手を当てた。

「同感。あー、一服したい」

私達に気を使ったのか、それとも一人で食べるのが寂しかったのかは知らないが、ルカは皆の分のケーキを用意した。

断るわけにもいかず我慢してそれを無理矢理食べきったけれど、今になって胃がもたれてきている。


「今日はsnow drop はどうする?行く?」


何とはなしにエリカに聞くと、NOと答えられてしまった。


「今日からバイトを始めたんだよね、叔父さんが経営してる焼肉屋なんだけど。だからバイトがある日はsnow drop には行けなくなるよ」

「へぇ。エリカがバイトねぇ」

「うん、ホール担当だよ。遊びに来てねー」

「そのうち行くから、場所と店の名前を教えてよ。だけど、バイトって。いきなりどうしたの?」

そんな話、全然聞いてなかったし。

「……もうすぐクリスマスじゃん?それでさ……」

「それで何よ?」


珍しく歯切れが悪い状態のエリカを不思議に思って、ずいっと顔を近づけた。




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