Sympathy For The Angel
それには私が中学生の時に母に買って貰った《趣味の悪い服》が、入っている。


「うわぁ!可愛いですね!」

パステルカラーやふわふわのシフォンのようなスカートやワンピースは着たくないのに、母は好んでこういう服ばかりを買ってきた。

だからこれらには一度も袖を通したことはない。


「こんなに高そうな洋服、頂けませんよ!」


恐縮して美優紀は辞退したが、「私の趣味じゃないから」と、それを強引に受け取らせた。



「ハヤト、終わった?終わったら一休憩しようよ」


さっきスーパーで買ってきたお菓子とペットボトルのジュースを出して、皆で輪になって銘々に座る。


「家具とかもお借りしちまって。ホント、何から何まですみません、椿さん」

ハヤトがペットボトルを弄びながら頭を掻いた。


「いーんだよ、この家は無駄に使わないものが一杯なんだから」

エリカがそう嘯いて私を苦笑させる。


「そうだよ、今まではこの家に殆ど私一人で住んでるようなもんだったから、逆に美優紀が来てくれて嬉しいよ」

「ありがとうございます」

美優紀はふんわり笑った。


「樹さんから、昼間は椿さんの護衛に付くように指示されたんスよ、俺。頼りないかも知れないけど、宜しくお願いします」

軽く頭を下げたハヤトはどこか嬉しそうだった。




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