【続】朝の旋律、CHOCOLATE



「学生くん、学生くん」

「はい」

「チョコレート食べる?」

「…頂いちゃいけないんです、って5回は言いました」



聞いたけど。
…口入れちゃえばいいじゃん。


私の体調は。
順調に、回復した。

熱も上がらないし、咳も減って。
あとは、検査の結果がいくつか出ていないから、それを待つだけ。


点滴が外れて。
親指の付け根に、痣と、針の痕が残った。


いつの間に許可を求めたのか、食べられそうな物なら、病院食以外のものを食べてもいい、と。
主治医が苦笑しながら、あまり彼氏に心配掛けないように、と。そう言っていた。



…哲、なに言っちゃってくれちゃったんだろう。



丁寧に胸の音を聴いて。
にこりと。

大丈夫ですね、って。



「大丈夫なら今日帰っ…」

「週明けです」

「………………はい」



ダメ元で言ってはみたけれど、にこりとしたまま、ばっさりと。




……かーえーりーたーいー。






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