【続】朝の旋律、CHOCOLATE


「学生くん、学生くん」

「…唐揚げも要りませんから」

「…………」


ちっ。
何度も言い過ぎたか!

お粥をあーん、ってする私たちを見て動揺した、可愛い学生くんはどこ行った!




「倉橋さん」

僕、倉橋さんのせいで進路変わっちゃいそうなんです。


なんて、突然言い出した学生くんにびっくりして。

私は、どうして?と。
その顔を、見つめた。



「倉橋さん、院内の食事、食べないじゃないですか」

「………たっ…」



食べてるし!!

…とは、言えない。

普通食に切り替わった時も、お粥じゃないことを喜ぶだけ喜んで、そのまま蓋閉めたし。



「確かに、美味しい、とは…言いにくいかも知れないですけど…体調と栄養をちゃんと考えた食事なのに」


「ご…ごめんなさい」



学生くんは、血圧計のマジックテープをベリベリと剥がしながら。

ふと、顔を上げた。




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