【続】朝の旋律、CHOCOLATE


学生くんは。

私の血圧を計りながら、何だか考え込むような仕草をしたけれど。

もう少し考えてみます、ありがとうございました、と。

血圧計を、外した。




彼は、看護師になりたくて。
ちょっと、何かに迷ってる。

私の我が儘が、彼の進路を。
ひいては人生を変えちゃうのかも知れない?



私のせい。
私のおかげ。


言い方でイメージは変わるけど、きっとそれは、悪い事じゃない。


私だって。
花屋になりたかった。

フラワーデザイナーの資格も、ある。


綺麗で、華やかで。

まあ…それだけじゃないけど。
水冷たいし、棘痛いし。



だけど今は、鉄工所勤務の、旋盤工。

危険で、真っ黒に煤けてて。


全く、予想もしていなかった、職種。



多分。

哲のせい。
哲の、おかげ。


だけど私はちゃんと、自分で決めたから。

何にも後悔は、ない。



学生くん、あなたも。
自分で決められると、いいね。


人と出会って、自分が変わる事って、きっと。

悪い事じゃないよ。




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