【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「…哲」
ちょっとはしゃいだら、息が切れてしまって。
肺の炎症は治ったけれど、体力は落ちたみたい。
私の、部屋。
ガラスの瓶が並ぶ、部屋。
中には、乾燥した葉や、皮や、実。
一週間も、留守にしてしまった私の部屋は、とても綺麗になっていた。
抜け出したままの、緑色のベッドは、几帳面にシワが伸ばされていて。
確かいくつかシンクに置いたままのグラスも、棚に戻っていて。
脱ぎっぱなしだった仕事着も。
洗濯されて、畳んであった。
「……私居なくても平気…」
「な訳ないだろ馬鹿」
蜜より独り暮らし長いんだぞ、必死になればできる、と。
哲は笑ってから。
でもな、とガラス瓶の並ぶキッチンを指差した。
「蜜……卵焼きって…あの中から何か入れるか?」
何度作っても、蜜みたいな味にならなかったんだよなあ、なんて。
哲は、私を。
シワひとつないベッドに押し倒すように、抱き締めた。