【続】朝の旋律、CHOCOLATE
哲の、匂い。
何だか、すごく久しぶりな気がする。
病院では、消毒薬かなんかの匂いに邪魔されて、よくわからなかった、匂い。
キスをするわけでもなく。
ただ、抱き合うのがあったかくて幸せで。
しがみつくほどには強くなく。
懐かしくて泣くほどでも、なく。
でも、確実に。
濃厚な安心感から来る、幸せ。
私、どうしちゃったんだろうなあ…。
哲、今までこんな風にしなかったのに、一歩前進してからは。
私の欲しいタイミングで、その体温と匂いを、貸してくれる。
すごく幸せ感があるんだけど。
哲に、私。
どうしたら同じくらい、幸せを感じさせてあげられるんだろう。
まさか卵焼きくらいじゃ、こんな幸せにならないと思うけど。
でも哲。
どの卵焼きか、あとで教えてね。
いつのが食べたかったのか、教えてね。
私、哲が私みたいに、いっぱい幸せ感じられること、したい。