【続】朝の旋律、CHOCOLATE
波が。
波が、私を呑み込む…?
「…狭山さん、ですか?」
私の声は、思ったよりも震えていた。
私の思考の及ばない所で何か。
何か、大きな波のような。
うねりのような。
きっと、顔色は、一気に青くなったと思う。
怒りの混じった衝撃は、遥かに大きい恐怖に呑み込まれて。
冷たい鉄の塊を飲み込んじゃったみたいに、喉が詰まった。
「…あぁ、哲と同じ事言うね」
みちゅ、もしかして狭山さんとこの久志くんに、何かされてるのかぃ?
「……」
「みちゅ」
みちゅは哲と、仕方なく一緒に居るワケじゃ、ないよな?
世話になってるから仕方なく、付き合ってるワケじゃ、ないんだろう?
婿様の声が、なんだか。
すごく遠くで聞こえる気がして。
何を言われているのか、よく…わからなかった。