【続】朝の旋律、CHOCOLATE
白いチョコレートでコーティングされた、バームクーヘン。
有名カフェの紙袋に入った、ソフトクッキー。
綺麗な色と、可愛い形で有名な、グラニュー糖をまぶされた、ゼリー菓子。
そんなものが、積み重なっていた。
「蜜」
「…うん」
まさか、お菓子に意気消沈する時が来るなんて。
お菓子に罪は無いけど…。
とても食べる気にはなれない。
「…みんな、いるから」
「…うん」
その“みんながいる”から。
私が“みんな”の中にいるから。
迷惑、掛けちゃいけない。
と、思う。
「……悪、かった」
「ひっ…………あ、磯部さん…びっ…くりしたぁ…」
突然、耳元、と言っても良いくらいの距離で謝られて。
飛びつくように、哲の仕事着を掴んだ。
磯部さんたら…後ろから声をかけるときは、もうちょっと気配を出してくれると……いいんだけど…。