【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「嬢ちゃん!奥行きな!」
久しぶりな仕事が、ちょっと楽しくて、頭の中でリフレインするRock Me Amadeusを楽しんでいた私のそばで、シゲちゃんが小さく叫んだ。
「狭山の馬鹿息子だ!」
「…うわ…。あ…でも、お菓子一応お礼言わないと」
「ああん!?」
やだ…顔怖いんだから凄まないでよ……。
礼なんかいらねえんだよ、なんて、ぶつぶつ言うシゲちゃんも、そうもいかないでしょう?と笑った私に、渋々、引いた。
朝、婿様が短めに説明をした。
狭山工販の長男が、私に。
行き過ぎた恋愛感情を押し付けがちだ、と。
婿様は、柔らかく言ったのだけれど。
マモちゃんは、珍しく眉根を寄せて黙り込み。
シゲちゃんは、ストーカーか!?と直球を投げて。
磯部さんは、そんな奴に俺は……と。
こっちがオロオロするほどに、へこたれていた。