【続】朝の旋律、CHOCOLATE
どうしてか機嫌の良さそうな、狭山久志を、外に連れ出した。
一番近い、自動販売機。
「なに、飲みますか?」
「え、奢ってくれんの?」
「…色々、お気遣い頂きましたから」
蜜と同じ物でいいよ、と。
気色悪いことを言う狭山久志に、食い下がるのも面倒で。
ロイヤルミルクティを二本、買った。
工場を振り返れば、マモちゃんが、あからさまに心配そうに私達を眺めていて。
視界から、外れないようにしないと。
私、大事にされてるもの。
皆に、可愛がって貰ってるもの。
色んな事から、守って貰ってるし、私も甘えてる。
だから、判らなくはない。
黙ってろ、と私に言われた皆が。哲が。
今、相当に不愉快な思いをしているだろう、こと。