【続】朝の旋律、CHOCOLATE


「単刀直入に、お話しします」

「急にどうしたの?」



背丈は、哲よりも低い。

体つきは、哲より華奢かも知れない。


真面目そうな、比較的悪くない顔立ちは、最初に見た時に思ったのだけれど。

まばたきが少ない、気がする。





「私を、どうする気ですか?」

「…え?」


「私、ここを辞める気はない、と言いました。なのに勝手に話を決められても困ります」

それに、社長夫人ってどういう事でしょうか。

私、狭山さんと結婚する気はおろか、お付き合いするつもりもないんですが。




「……………急にどうしたの」

「………迷惑です、と言ってます」

これからも、仕事上でお付き合いは続くんです。

お願いですから。


「勝手な事を、押しつけないでください」



色々、感謝はしてます。

でも、私の身の振り方は、私が決めます、から……。




みるみる表情を無くした狭山久志に。

頼むからここで引いてくれ、と強烈に願いながら。


私は真っ直ぐ、彼を見上げた。




< 129 / 422 >

この作品をシェア

pagetop