【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「単刀直入に、お話しします」
「急にどうしたの?」
背丈は、哲よりも低い。
体つきは、哲より華奢かも知れない。
真面目そうな、比較的悪くない顔立ちは、最初に見た時に思ったのだけれど。
まばたきが少ない、気がする。
「私を、どうする気ですか?」
「…え?」
「私、ここを辞める気はない、と言いました。なのに勝手に話を決められても困ります」
それに、社長夫人ってどういう事でしょうか。
私、狭山さんと結婚する気はおろか、お付き合いするつもりもないんですが。
「……………急にどうしたの」
「………迷惑です、と言ってます」
これからも、仕事上でお付き合いは続くんです。
お願いですから。
「勝手な事を、押しつけないでください」
色々、感謝はしてます。
でも、私の身の振り方は、私が決めます、から……。
みるみる表情を無くした狭山久志に。
頼むからここで引いてくれ、と強烈に願いながら。
私は真っ直ぐ、彼を見上げた。