【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「……迷、惑?」
…地雷を、踏んだ。
いや…。
踏まなきゃ、ならなかった。
「俺、蜜の為を思って、親父にも無理言ってあげたのに」
狭山久志の顔が、蒼白に。
私の体の芯は、氷のように。
「…呼び捨てないでください」
私の名。
呼んでいい人と、呼ばないで欲しい人と。
呼んで欲しい人、とが居る。
「俺を好きじゃなくなった…とかじゃないよね…?」
「…どうして、好きだなんて思ったん…ですか……?」
私、そんな気なかった。
勘違いさせるようなことも、しなかったはず。
私にしてみたら、青天の霹靂。
こんな急に。
一目惚れとか、信じないわけじゃないけれど。
いきなり、結婚を仄めかされるような覚え、ない。
「だって、いつも俺の無理、きいてくれて……笑って…」
蒼白な顔の狭山久志は。
唇までもを震わせて。
口ごもったあと。
…赤? と。
呟いた。