【続】朝の旋律、CHOCOLATE



「……迷、惑?」



…地雷を、踏んだ。

いや…。
踏まなきゃ、ならなかった。




「俺、蜜の為を思って、親父にも無理言ってあげたのに」

狭山久志の顔が、蒼白に。
私の体の芯は、氷のように。



「…呼び捨てないでください」


私の名。

呼んでいい人と、呼ばないで欲しい人と。

呼んで欲しい人、とが居る。




「俺を好きじゃなくなった…とかじゃないよね…?」

「…どうして、好きだなんて思ったん…ですか……?」



私、そんな気なかった。
勘違いさせるようなことも、しなかったはず。

私にしてみたら、青天の霹靂。


こんな急に。

一目惚れとか、信じないわけじゃないけれど。

いきなり、結婚を仄めかされるような覚え、ない。




「だって、いつも俺の無理、きいてくれて……笑って…」




蒼白な顔の狭山久志は。

唇までもを震わせて。
口ごもったあと。




…赤? と。

呟いた。





< 130 / 422 >

この作品をシェア

pagetop