【続】朝の旋律、CHOCOLATE
「みーつーちゃーん」
あっそびーマショー、と。
ドアの外で、真ちゃんの声がした。
あれから、狭山久志は来ていない。
ちょっと心配した、狭山工販からの仕事量も、特に減ることはなく、もう何日か経つ。
今日は、土曜日。
哲の所に真ちゃんが来て、私はトランペットの練習をする日。
「だーめーよー。今忙しい~」
私は調子を合わせて答えながら、玄関のドアを開けた。
真ちゃんは、哲のいないとき、私の部屋のドアを、勝手に開けない。
哲がいるときには、なんの躊躇いもなく上がり込んで、部屋中で好きなようにするけど。
…壁に画鋲止めされたガーターベルトは…そろそろ剥がしても良いだろうか…。
妙な存在感があって、怖いんだよね…。