【続】朝の旋律、CHOCOLATE



「みーつーちゃーん」

あっそびーマショー、と。

ドアの外で、真ちゃんの声がした。



あれから、狭山久志は来ていない。

ちょっと心配した、狭山工販からの仕事量も、特に減ることはなく、もう何日か経つ。


今日は、土曜日。

哲の所に真ちゃんが来て、私はトランペットの練習をする日。



「だーめーよー。今忙しい~」

私は調子を合わせて答えながら、玄関のドアを開けた。

真ちゃんは、哲のいないとき、私の部屋のドアを、勝手に開けない。

哲がいるときには、なんの躊躇いもなく上がり込んで、部屋中で好きなようにするけど。



…壁に画鋲止めされたガーターベルトは…そろそろ剥がしても良いだろうか…。

妙な存在感があって、怖いんだよね…。




< 137 / 422 >

この作品をシェア

pagetop