【続】朝の旋律、CHOCOLATE
郵便受けには、ちゃんとダイレクトメールが、入っていた。
水の販売広告が一枚。
たったそれだけのことなんだけれど、私は哲と顔を見合わせて、ほっと息をついた。
そうだよね。
そんな毎回、郵便物取ったって、面白いわけないし。
哲の、赤い髪のかかる耳に。
細かい彫りのある銀色の粒が光る。
私とお揃いの、ピアス。
一組のピアスを、一粒ずつ分けたもののそれは、ちょっと女の子の付けるような華奢な物だけれど。
一粒ずつ付けたい、と、発音しながら、途中で恥ずかしくなって目を逸らした私の手から。
黙って受け取って、付けてくれた、もの。
なんとなく、嬉しくて。
それきり外さないで居てくれるのが、嬉しくて。
でも。
お揃いだ、なんて。
狭山久志は、気がつかないとは、思うけど。
ちょっと…私的にはリスクが高い、ように思えた。