【続】朝の旋律、CHOCOLATE
言わなきゃ良かった。
言わなきゃ分からなかったのに。
昨日、私の出したゴミが消えた、なんて。
昨日の夕方、怖いから、コンビニに一緒に行って欲しい、なんて。
「とりあえず奥行けば、婿様だっていただろ!?」
……いたよ。
いたから。
ちゃんとすぐ来てくれたじゃん。
狭山久志が来たのって、哲が戻ってきた15秒前だもん。
哲と同時くらいに、来てくれたじゃん。
「…………………」
私だって、別にわざと2人になったわけじゃない。
そんな大声出されたって…。
…チクショウ。
悲しくなってきた。
泣くもんか。
「……頼むから、ちゃんと危機感持ってくれよ!」
「……………」
まるで、私が全く警戒しないまま、無防備にもじゃれついた、みたいな、言い方。
「聞いてんの?」
「………………」
ぞわぞわと、沸き上がるような、悲しさと、怖さ。
哲が、こんな怒り方したことなんかない。
したことないし、私がこんなに頑なにそっぽを向くなんてことも、初めてかも知れない。