【続】朝の旋律、CHOCOLATE


逃げるように、配達に出た。


狭山工販には行かなくて済むように、婿様は上手に配分してくれる。

特に、困った言動を取らなくなった狭山久志だけれども、婿様の警戒は、解けない。


ただ、私が何も言わなくなったから、なんとなく口を噤んでいてくれるだけだ。




諦めたように息をついた哲は、気をつけて、と。

2日ぶりに私の髪に、触れた。


きゅう、っと。
不意に泣きたくなった私は、必死で唇を噛んで。

今朝来ていた、2度目のメールを、やっぱり言い出せないままでいる事に、罪悪感を。

感じた。




どうして返事をくれないんだ、と。

書かれていた、Cメール。



一通目を見せそびれたから、ますます、言い出しにくかった。



< 186 / 422 >

この作品をシェア

pagetop