【続】朝の旋律、CHOCOLATE
ジャスミン茶と、苺ポッキーを買った。
食べなきゃならないのは、わかってる。
ちゃんと食事をしないといけないのは、わかってるんだ。
何軒か配達を終えて。
残り一軒の、その場所で。
同じ職種の、やれる加工の違う工場。
ウチでやったものに、追加工して貰うために来たここで。
狭山久志の父親、狭山工販の社長に、出くわした。
「こ…んにちは」
私は、ちゃんと挨拶をした。
だって、得意先の、社長だ。
個人的に苦手だけど。
息子の事を言い付けたい、けど…。
「……ああ、お前か」
…私。
人のこと、こういう感じでお前呼ばわりする人には、ならないようにしようと思う。
ちらっと私を見た、狭山の社長の目は、いつにも増して私を下に見ている。
けど…言った方が、いい?
困ってる、って。
「あ、の……」
「ちょうど良かった、こっちも言いたいことがあったんだ」
問答無用の手招きに。
意を決しきれなかった私を遮る、傲慢な目に。
警鐘は、壊れたかのように、静かだった。