【続】朝の旋律、CHOCOLATE
狭山の出す、無理難題を、こなしてきた。
なんだかんだ言いつつも、納期を守って来た。
クレームも、なかったはず。
私は見返りを求める質じゃないけれど。
これは…
これは…あんまりなんじゃ、ないだろうか。
「お前、久志に色仕掛けで迫ってるって?」
私の体を、馬鹿にしたように一瞥した狭山の社長は。
あからさまに、鼻で笑った。
あいつは甘いからな。
そんなに久志がいいなら傍に居させてもいいかと、ウチに職を用意したはいいけど、今度は結婚してくれなきゃ嫌だとゴネてるって?
「一度相手してやったからって、結婚をちらつかせるなんて、図々しいと思わないか?」
まあ、たかが女工の稼ぎじゃ、どうにもならないのは解るけどな?
「…久志は若いからな」
うまくタラし込んだつもりかも知れないが。
ウチの嫁になりたくても、こっちには体面があるんだ。
二股も三股も掛けてるような女、許さないからな。と。
……私を、睨んだ。