【続】朝の旋律、CHOCOLATE


手も、足も。
細かい震えが止まらない。


私、何を言われた?
なんて返事した?

ちゃんと、色々否定できたっけ?



赤い髪したお前んとこの職人とは切ってこい、病気でも伝染されたらたまんない、なんて。


久志は、赤いのがお前に言い寄ってるって怒るが……違うよな?逆だよな?

その緩い股を締めてこない限り、久志にこれ以上相手させるわけには行かないからな。


この際だから言っとくが、誰の子かもわからんガキを孕まれても、ウチでは面倒みないからな。



…なんて。




…あまり人から嫌われた経験のない私には、この。

私を、淫婦かなにかのように蔑む言葉が。



…とても怖かった。




違う、と。

きっと私は、言えてない。

言えないまま、私を脅すように、わかったな?と低く言い残した狭山の社長に、私の呼吸は。



…浅く、浅く、速く。





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