【続】朝の旋律、CHOCOLATE
イガラシさんから電話が来たんだ。
蜜ちゃん帰ってる?って。
「…なに、か不備…、ありました?」
急に込み上げた羞恥心に、もう大丈夫、と。
そっと哲の胸を、押した。
哲はわずかに体を離したけれど。
じっと私の顔を見て。
緩く、大きく、抱え直すように、その胸に私を押し付けた。
「いや、不備じゃあなくて」
狭山さんにずいぶん叱られてたみたいだし、様子がおかしかったから心配になって、ってね。
……悪かったなあ、まさか社長がウロウロしてるとは思わなかったんだ。
久志くんが回って無い所ならば大丈夫だと…思って…。
「みちゅ、申し訳なかったね」
婿様は。
私が、この数日、何も相談しなくなっていた事など無かったかのように。
「哲も、悪かったね」
哲だって、不機嫌そうに黙ってるだけだったはずなのに。
婿様は、そうやって。
いつも私達を、甘やかす。